2013年3月22日

諏訪風樹文庫

「諏訪風樹文庫」は、岩波書店から出版される昭和22年以降の図書が所蔵されている日本で唯一の専門図書館です。また大正2年から昭和21年の書籍を収集、現在は全発行書籍の43,7パーセントが所蔵(HP参照)されているそうです。

3月9日に行われた、興味深い講演会「変わる文化のなかの岩波書店」(岩波書店、編集局部長小島潔氏)の聴講に初めて風樹文庫を訪れました。

図書館の始まりは、戦後地元の子供たちに岩波書店より寄贈された201冊の本だそうで、小さなな町の謙虚とも思われる建物のなかに、戦後の出版物が見事に所蔵されているのです。

岩波茂雄記念堂、閉架書庫部門には、



かつて、丁寧に作られた本が展示。




思わずワクワクしてしまう図書館でした。

図書館には大内兵衛先生の講演記録小冊子「大内兵衛先生と岩波書店」がおかれていました。岩波茂雄がカントの言葉「Du kannst denn di sollst」を机の上においていた小さなエピソードや、岩波書店が人間をダラクさせる本を岩波がだしたら、岩波茂雄が悲しむだろうと思う、と締め括っている10数ページのものですが、書店の創立者を語る興味深いものです。

「本」は読者側にとっては精神的、知的財産の元となる貴重な体験になりうる、従って出版側には何を提供するかが重大な責任になりうるわけですね。時代に流されず、きちんとしたものを作ろうとしている出版社は有難いと思います。

10月に岩波書店100年史が刊行されるそうです、とても楽しみになりました。

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